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昨今のインターネット広告におけるマウスピース矯正の乱立には驚くものがあります。
「レッド(ブラック)ダイヤモンド認定医」「称号」など、実在しない“造語”による虚偽広告が横行し患者さんをミスリードさせています。当然ながら医療広告ガイドラインに抵触します。
マウスピース矯正のメリットについては他院のホームページにたくさん記載があると思いますので、ここではまずは注意喚起を目的に普段目にすることのない情報を記載します。

マウスピース矯正こそ、学会認定資格のある専門医で

と、いろいろ調べて矯正専門医を受診する患者さんは後を絶ちません。

そういった患者さんには責任のある元の医師での継続、または返金を強く勧めています。
新しい医院での治療は“初診”になりますし、患者側の意志による中断という理由で返金されることなく元の医院は丸儲け、さらに削った歯は元に戻ることはありません。
専門医から見るとまずは機能不全に陥った状態からの回復治療から始めなくてはならないため、成功率は格段に下がり、期間も長くなります。 これがマウスピース矯正失敗後の治療が断られる理由です。

2023年1月、マウスピース矯正を使ったモニター商法詐欺事件が起きました。
マウスピース矯正自体は決して悪いものではありませんが万能ではありません。そのため当院でも適応症を見極めて施術しています。
この事件の謳い文句は、“日本に数名しかいない「レッドダイヤモンド」認定医による治療”だったそうです。

知っておきたい! レッド(ブラック)ダイヤモンドとは?

年間のマウスピース発注数に応じて振り分ける社内お得意様ランクの呼称で、どれだけリピートして注文しているかをインビザライン社と医院間で把握できるようしたものです。 基本的には注文すれば誰でも取得できますし、そもそも資格ではありませんので宣伝になるようなものではありません。
ここで大切なことは、治療を終了した症例数ではなく、マウスピースの「注文数」、買った数で認定されるところです。これ、意外と知られていません。

マウスピースは矯正治療に使う医療器具です。専門医に限らず一般医でも1日講習を受ければ“マウスピース矯正治療ができるようになったはず”とみなし、注文できるようになります。
治療技術、経験数、学会資格は関係ありませんので注文さえしてくれれば今日から“マウスピースドクター”と呼んでもらえます。

営利企業ですので数少ない矯正専門医よりも圧倒的に多い一般医に商品を買ってもらう方が儲かります。企業にとってはその相手がどれだけ購入してくれたかが重要です。
年間注文数が多いほど“大切な顧客ドクター”として社内の評価認定が上がる仕組みのため、マウスピースしか扱えない一般医院の方がダイヤモンドランクが上がるという現象が当然起こります。
ECサイトで、『〇月〇日までに、あと〇個以上追加購入いただければ、ダイヤモンドからプラチナ会員にステータスアップ!』と同じ構造です。

ポイント10個たまったらマグカップをプレゼント!見たことありませんか?

企業側は“お礼”としてランクに応じて商品を相当額ディスカウントすることで患者さんからいただく治療費との差額を医院に還元します。
複数の友人ドクターの分まで一緒に注文してあげると、さらに安くマウスピースを入手できるようになり、自分の発注数だけが増えるのでレッドダイヤモンドにはより効果的です。

また企業側は患者さんの安心を得る宣伝材料として受付ディスプレイ用の“箔がつく賞状”と“箔がつく盾”、“箔がつくロゴ入り白衣”を贈呈。 これは矯正歯科の学会認定資格を持っていない一般医にとっては非常に嬉しいサービスで、あちこちのホームページで散見します。 しかも、実際に治療を始めなくてもよく、とりあえずマウスピースを買ってくれさえすれば、必ずもらえます。

学会認定資格ではなく企業名のついた○○認定医も、この“箔がつく”サービスです。しかしながら、一般患者さんからみると「レッドダイヤモンド」と「矯正歯科学会認定資格証」を混同されているようですので、説明いたします。

レッドダイヤモンドプロバイダーと矯正認定医資格証は違うの?

レッド(ブラック)ダイヤモンド認定医(詐称)の正式名称は、「ダイヤモンドプロバイダー」です。
そもそもプロバイダーって何でしょう。
プロバイダーと聞くと、一般的にはネット事業者を思い浮かべませんか?マンションに引いてあるフレッツ光と自宅パソコンをつなげる「接続事業者」です。
ダイヤモンドプロバイダーもこれと同じで、マウスピース業者と患者さんの橋渡しをする、企業にとってはとても感謝すべき先生のことです。買って、渡す、買って、渡す。それも、ダイヤモンドステータスになるくらい。

…だから治療技術や矯正治療経験数、学会資格、治療結果は一切問われず、“学会認定医”ではない“プロバイダー”なのです。いっぱい渡したよ!的な、です。

でも最近の広告ではこの“プロバイダー”を敢えて記載せずに、“レッドダイヤモンド”とする傾向があります。 “ダイヤモンド認定医”という詐称まで見られます。少しでも多くの患者さんに選んでもらえるよう上級に見せるための企業努力でしょう。

それに対して、日本矯正歯科学会等の“学会認定”は、卒後の矯正専門研修条件や、口頭試問、筆記試験、治療完了、完了後2年以上の予後までの経過報告等がすべて必要です。5年ごとの更新も義務付けられています。

当院は日本矯正歯科学会認定医・臨床指導医のクリニックです。

マウスピース型装置でも日本矯正歯科学会に症例報告できる“咬み合わせ治療”を目指しています。一般的なビフォアフターの“奥歯はそのままで前歯が並んだら終わり”、ではありません。

混んでるクリニックに行かなくても家でできるマウスピース矯正があると言われた

治療の経過はある程度予測できていてもどう反応するかは人によって違います。指示された20時間、きちんとマウスピースを装着できない人もいるでしょう。アタッチメントが外れているかも知れません。
そのために定期的な診察が必要なのです。
確実に来れる日で次の予約をしたら、それを最優先してください。変更しなければクリニックが混んでいるかは関係ないと思いませんか?
自宅でできる、通院不要とは、「何かおこっても診てくれない」という裏返し。
クリニックを設置しない、ドクター、ナースもおかないという極力お金をかけない新手の“商売”です。医療人ではなく、一般企業ならではアイディアですね。物販販売ということです。

マウスピース装置は、医師が作成した治療計画をマウスピースの設計に落とし込んでいきます。マウスピース本体に計画が備わっているため、ただの“モノ”ではありません。定期的に患者さんに来院いただき、処方した動きが反映されているか進行状況を把握します。もし生体の動きが設計から外れてきたら、すぐに治療計画を見直し「再設計」「再製作」をいたします。
通院しないということは、この診察がない、ということです。無責任だと思いませんか?

マウスピース矯正希望だったが、ワイヤー矯正でしか治せないと言われた

専門医は、矯正治療の医学的意味と専門的な治療技術、治療完了となる条件を知っています。 どんな不正咬合の患者さんでも、理想とされる状態に戻してあげたいと心から思っています。マウスピース矯正は決して万能ではありません。
ある一定のところまで治っても世界矯正歯科機構で認められている健康的かつ審美的な終了状態で終わらせることが困難な場合も多く、そういったリスクが少しでも考えられるようであれば、治療技術がより高度なワイヤーによる治療を勧めることがあります。
ワイヤー治療の経験がない一般医との違いはここにあります。マウスピース以外の選択肢を勧めることができないのです。

この治療終了を目指していなければ、もしくは知らなければ、どなたでもマウスピース矯正で治せます、と言い切れますよね。
「矯正専門医で断られたのに、ここの病院ではマウスピース矯正で治せると言ってくれた!こっちの方がレベルが上!」
両者は決して同じゴールではないからです。
そもそも一般歯科の中の「矯正」は、一般医がわざわざ経験の浅い専門外の診療科を施術するわけですからその目的は医院経営にほかならず、あくまで「副」としての科目なので月々〇千円や、45%OFFができるのです。
「マウスピース矯正専門医院」だとしても、その後ろ盾として元々の一般歯科医院が別にきちんと存在します。
自分を守るために賢い患者になることをお勧めします。

前歯だけきれいに並べばいいと言ったら、全体矯正しかできないと言われた

不正咬合を有している患者さんでも歯列が悪いなりに日々の生活、食事はできています。
理由は、一部の歯は酷使されながらも咀嚼機能して、機能不全の歯を補っているからです。
矯正治療は異なる名称と機能を有するすべての歯を適所に移動、再排列させて咬合負担を分散させ、将来の歯の寿命を延ばすという効果があります。
歯は咀嚼機能させるための「臓器」ですから、見栄えをよくする美容目的で部分的に並べても健康的には意味がなくいつか本格的な治療を受けたいと思った時にすでに歯を削っていた場合はその損失の大きさ、費用、時間を後悔するだけになります。
「デンタルクリニック」「歯科と矯正歯科」、最近では「マウスピース矯正専門クリニック」の看板を掲げている“一般歯科”(普通の歯医者さん)での矯正はあくまで医院経営が目的です。

学会資格を持っていないということは矯正治療の卒後専門教育と研修を受けたことがないわけですから、専門医が条件としている終了状態を最初から目指すことはないでしょうし、そもそも知らないでしょう。

自分を守るために賢い患者になることをお勧めします。

当院のマウスピース型矯正治療は、白いワイヤー矯正治療が含まれています

マウスピース型矯正装置を提供している企業は5年保証を謳っています。型採りから5年以上経過すると再製作する権利が失効するのです。

その間に治療が完了すれば問題ありませんが、マウスピース装着時間が少なかった等で時間がかかるケースもあります。当院では、失効後の保証として、表側からの白い装置による継続治療も、治療費に含んでいます。
なぜなら、最終的に日本矯正歯科学会に報告できるレベルで終わらせる責任があると思っているからです。
ワイヤー装置を扱える治療技術は一般医との圧倒的な違いでしょう。

歯は抜きたくないのに、矯正医では抜かないと治せないと言われた でもマウスピースの病院では抜かなくてもできると言われた

矯正治療は魔法ではありません。個人の持って生まれた顎骨の範囲内でしか排列させることができないのです。 矯正専門医が治療計画を立案するにあたって、抜歯、非抜歯の問題があります。

マウスピース矯正って、歯を削るのが普通?

専門医にとって、歯を削ってスペースを作るという発想は基本的にありません。 理由は、表層エナメル質削合で得られる量はわずかだからです。歯を削って口元が下がるなんて論外です。

機能的咬合の確立、口唇閉鎖不全(口元の突出)の改善を主軸としていますので、精密検査の結果、見た目ではなく数値による客観的根拠を出して正しく診断し、歯を抜く理由がなければ当然ながら非抜歯、抜く必要があればその絶対の理由、抜歯数、部位等の根拠があるはずです。 治療対象は人体ですから、決まったパターンなどはありません。左右非対称の抜歯部位、奇数本の抜歯などいくらでもあります。だからこそ、検査と診断をしたいのです。

抜歯をすると空隙閉鎖期間中に色々なことが生じるため、経験のない専門外の医院ではリスクを考えて無理やりでも非抜歯にするしかできず、それを「歯を少し削れば抜かなくてもきれいになります」と言い換えます。でも、抜歯・非抜歯には確固とした理由があり、ゴールは全く異なります。

エナメル質削合で叢生(ガタガタ)が改善する程度であれば、そもそもそれは削合ではなく個々の歯の移動を行って非抜歯で治すのが通常治療の考え方でしょう。そうすれば大切な歯を削らずに済むわけですから。 当院は矯正歯科学会認定医・臨床指導医のクリニックです。歯の大きさの不均衡で形態修正のために歯を削ることはありますが、叢生の解消目的で大切な歯を削ることはありません。かえって歯の大きさの不均衡を作ってしまうからです。

自分を守るために賢い患者になることをお勧めします。

マウスピース矯正専門医院と矯正専門医院は違いますか?

マウスピース矯正専門という言葉はありません。ただの自称です。
矯正専門医院は、矯正歯科学会が資格試験合格者を認定した有資格者の医院です。

矯正歯科治療のプロとは、学会が認定した有資格者のことを指し、これに自称はありません。

あなたが治療を申し込んだレッドダイヤモンド、
本当に矯正歯科の学会資格をお持ちですか?

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